本日の読書

悪霊 (下巻) (新潮文庫)ドストエフスキー著」 勢いで読了。
後半は殺人事件と自殺事件が続きます。自殺人物の内的独白をたどっていると,やはりこの作品はキリスト教あっての作品,キリスト教あっての煩悶を綴った小説なんだなという感,強いです。理解できない箇所はさっぱり理解できないです。
この第3部は,血なまぐさい事件がつぎつぎと発生するので,話に起伏があるので一気に読めます。もっとも,現代のテンポ軽快なハードボイルド小説を読み慣れた感覚からすると,それでも「展開がゆったり」してます。そういう意味ではこれは19世紀の小説なんだなと思ったりもします。大藪春彦だったらほんの数十行で済ませるところを,ドスト氏は,10ページも20ページも延々と書いて表現してるという感じがあるかもしれません。
それでも,まあ,これでドスト氏の「四大長編」はすべて制覇です。めでたしめでたし。「悪霊」以外の「白痴」「罪と罰」「カラ兄」ははるか10年以上昔に読了したにもかかわらず,どういうわけか,この「悪霊」だけは抜け落ちていました。たしか谷沢永一氏がなにかの対談集で「あの(「悪霊」の)世界はもう死んでしまったから(読まないよね)」という趣旨の発言をされていたのが目に留まってしまって,それで,ああ,読む必要は無いのかと,思ってしまって,延び延びにしてしまったからだということはなぜか覚えています。
カラ兄光文社文庫版は,読みやすい訳に仕上がっているみたいですね。一時流行った「超訳」みたいなノリを感じます。これを機会に再読してみたいと考えてます。いまだったら,けっこう理解できるかもしれません。