金属ナトリウムどぼん

ふるい話。中学校のときの,理科の実験で覚えてます覚えてます。
灯油の中に沈めて保存しておいた金属ナトリウムの塊を,理科担当の先生がナイフで薄く削り出して,そして,その微片をピンセットでつまんで,洗面器に張った水面にぽいと投ずると,その微片がたちまち燃焼して,水面を炎の帯がうねうねと駆けめぐりました。炎がものすごく綺麗でしたし,そして化学反応というものの面白さを教わりました教わりました。
しかし,この実験を,当時ぼーっと眺めて見ていた生徒として,誰もがぱっと思い浮かぶことは何かというと,
「その(金属ナトリウムの)塊を,ナイフで削らないで,そのままぼちゃんと,水の中に投ずると,どうなるの?」
という疑問です。
さっそく理科の先生に尋ねてみました。先生の口からは「それは危険だ」という返事が戻って来るだけで,具体的な回答は得られませんでした。
こんな回答では,生徒としては,なんとも釈然としない思いばかりがつのりますのが,人情というものです。そりゃぁ,危険なことはもちろんはじめから予想がついていることであって,では,何を知りたいのかというと,「塊を投げ入れる」と,「どういう光景」が展開されるのだろうか,それを生徒としては「具体的に」知りたかったのです。
だけど,いまになって思うと,その先生だって,そのカタマリどぼんを実際に実験したことなど無かったわけだから,「具体的に」その「光景を語る」ことなどできるわけはありません。無理な注文です。訊ねた生徒の方が,ずっと野暮だったわけであります。
ただ,「具体的な」回答が得られないと,やっぱり気になるんですよね。なんとかこれを実験する方法は無いものかと,中学生の時分の,足りない脳味噌を絞って,一生懸命考えたりしました。とある日なんか,理科実験室の床下に,その金属ナトリウムを保管してある秘密倉庫があるよ,などという噂が,学校内で飛び回ったことがあったものだから,ならばそれを探し出してしまおうということになって,放課後に,誰もいない実験室に忍び込んで,床板を調べて回ったこともありました。けっきょくみつかりませんでした。見つからなかった悔しさを晴らしたくて,実験室の棚に保管してあったブドウ糖粉末を一瓶いただいて,そのさわやかな甘味で自分を慰めたりしていました。当然です。そんな危険物,たとえ床下でも,生徒が手を出せそうな場所に,ぽんと置いとくはずがありません。おそらく,校内のどこかの金庫の中にでも厳重に保管してあったのでしょう。
そういう,中学生以来の長年の疑問が下記のyoutubeで紹介されておりました。実験してくれてありがとうございます。

確かに危険です。危険であることが,この映像からありありと理解できました。
こういうことを知りたかったのですよ。感謝感謝。