■ ジェンキンスさんのそっくりさん

二胡のコンサートを聴きに会場に到着。あらかじめ指定済み客席に着席仕った。あとはコンサートが始まるのを待つのみ。のほほんと構えていると,するとすぐに前方から,いまニュースで話題のジェンキンスさん似で,もうすこしはるかに老け込んだ感じのお爺さんがわたしの目の前に現われた。杖をつきつきやっとの思いでこちらに向かって歩いてくる。どうやら,わたしのすぐ後ろがジェンキンスさんの御指定席だったようで,すなわち,わたしのすぐ背後に,ジェンキンスさんはよっこらしょっと鎮座ましますことになった。いやな予感がした。まもなくコンサート開始,ステージも客席も溶暗。そのときスポットライトがまぶしいくらいに輝きはじめ,ステージ上の二胡奏者の全身を,光がまばゆく包んでいる。そして音楽スタートせり,アーティストの手元の二胡はたっしゃにうごいて高らかに歌を奏ではじめた。そのとき,いやな予感が当たった。わたしの背後の,件のジェンキンスさん,さっそくげほげほと咳き込み始めた。会場の空気が乾いているのだろうか。コンサート中に思わず咳が出るのは,多少なら許容範囲としてわたしは受け取っているのだが,このたびの咳き込みはものすごい連発攻撃です。なんということだ。おいおいステージでは,二胡が,静粛に,麗しく歌っているのに,客席でそんな咳き込まないでくれよな。けっこう目立ってるぞ。なんてスリルとサスペンスにあふれた観客席だろう。しかもステージの音楽が,フォルテシモにさしかかったころに決まって,咳き込み始める。おそらく音楽の音量が大きいから多少咳き込んでも,周りにはそんなに迷惑は与えないだろうという計算があってのことだと思うが,ちゃいまんねん,その咳き込み,しっかり響いておます。う〜ん,というわけでこのコンサート鑑賞はわたしの席の周囲はある意味はらはらどきどきの連続でございました。もっともコンサートが後半にさしかかると,咳き込みがだいぶおさまったようで,ほとんど気にならなくなりました。よかったよかった大いによかったです。
さて,肝心の二胡のコンサートですけども,たいへんたのしめました。「癒し系」とよく評される,のろ〜い楽曲ばかりなのかなと思っていましたが,なかなかどうしてジャズ風の即興にみちみちたのりのりな楽曲もあるし,緩急いろいろ創意工夫にみちみちていて聴いていて最後まであきさせません。すばらしいです。音楽がすばらしいので,背後のジェンキンスさん(?)の咳き込みなんか気にならなくなりました。軍事裁判にはかけないのでご安心くださいませ。
■ 演奏会

1900から帯広市二胡によるコンサートが行われるので1700を過ぎたらすべてをはやめに切り上げてしまはなくては。別に中国伝統楽器のファンというわけではなくて,手元にチケットがあるから行くだけというのが実情なのであります。
ちなみにこのコンサートのアーティストについて機関紙に紹介文を書いたのはわたしだったりする。二胡のことなんか聴いたこともないし何も知らないのに,機関紙は待ってくれない。代わりに書いてくれる代役もいない。やむなくネットを漁ったり,図書館を漁ったりしてにわか知識を得て,思い込みもはなはだしいままに,そのままやっつけて仕事してしまうことになる。
そういう内容だから,二胡についてすこし詳しい人が読まれたりすりと,「なんだぃ,これ書いたやつは」なんて思われているんだろうなあ。そういう人,どうかゆるしてくださいね,と穴に向かって呟いています。
■ わからないところは

ひとまずあとにおいといてぐいぐい行きますでし。
■ 本日のBGM

納所弁次郎歌唱「敵は幾萬」。
微妙な歌唱でございます。