本日の読書

青銅ランプの呪 (創元推理文庫 (119‐6))「青銅ランプの呪(カーター・ディクスン創元推理文庫)」かなりおもしろい。ずばり「人間消失」がメインとなっている作品。エジプト古代遺跡の発掘に夢中のお嬢様へレンが,イギリスの実家に戻ってきたところ,そのフロアにて,とつぜん「消失」してしまう話です。そして消失したっきり,殺されたのか,誘拐されたのか,狂言なのか,やはり「青銅ランプの呪い」によるものなのか,いったいどうしたものか,さっぱりわからないまま,ストーリーがどこまでも展開していきます。だから,そもそもの「事件性」があるのかどうかすら,伏せられ続けます。読み手はひっぱられつづけます。もちろん,推理小説なので,最後まで読むと意外なトリックが種明かしされるわけですが,・・・
そのメイントリックは「19世紀的」「ハイソサエティな」家庭状況が前提にあって初めて成立するもの。逆にいうと,21世紀に生きている自分たちには,まず思いつかないトリックといえます。だから,完全に意表をつかれました。たぶん,この著作がかかれた1945年の時点ですら,読み手側の状況は似たようなものだったのでないかなあとすら思います。カーという作家は,やはり「古き良き」時代を偏愛した人なのでしょうね。
ストーリーも明快整理して書かれていて,読みやすくまとまっていて,読んでて疲れませんでした。名作。☆☆☆☆☆!