招き猫休止の報

クラシック招き猫*1がこの7月を以って休止になるとのこと。休止とはうたっているけれども,事実上の閉鎖だと思います。クラシック音楽の情報と,そしてそれを楽しむ人々同士によるコミュニケーションの楽しさとを教えてくれた掲示板サイトでした。心から感謝申上げます。7年間おつかれさまでした。
単に情報のやりとりだけに留まらず,投稿を繰り返すたびに,投稿者同士の個性を発見し合い,そしてそれをお互い引き立て合えること,つまりコミュニケーションの本来の楽しさがそこにあったこと。それがこの掲示板サイトの良さだったんだなと思います。
特に副産物の“大冷界”は傑作だったと思います。そもそもは主催者甲斐さんのダジャレ好きから始まった1枚の掲示板サイトにすぎなかったのですが,しかしそこで,寒い寒いダジャレを延々とかましあうことで,不思議と投稿者同士の心の距離が縮まっていくこと,敷居が低くなること,このこともインターネットにおける“発見”のひとつでした。
そもそも,音盤を聴いて楽しむということは,基本的に,自分の感性と,一人で対話しつづける,一人旅のような行為だと思う。それだけに,横のつながりを産み出しにくい行為だと思う。しかし,インターネットによる掲示板上への書込みを通して,お互いの感じることを,ざっくばらんに,たやすく交流させることが可能だということ。そしてコミュニケーションにもつながり得るということ。いまではあたりまえだけども,インターネット以前にさかのぼって考えると,これって,すごい進歩で,発見だったんだな,と思う。
音楽だけの話題に留まらず,個人的な悩みごとにまでも暖かく回答が寄せられてた“カフェテリア”掲示板の存在も懐かしいです。
そういう意味で,クラシック音楽好きとしては,心の支えのひとつでもある,掲示板サイトでした。
けっきょく,参加する機会は無かったけれども,そのオフ会も,東京と大阪で何度か開催されたこともあったという。それぞれが大盛況だった模様です。
残念ながら,ここ数年は,たしかに,掲示板が本来有していた独特のボルテージが,いつのまにか,下がってしまったなと思う。わたしとしてもアクセスする頻度が,いつのまにか減ってしまいました。理由はわたしにもよくわかりません。ウェブ表現手段が,より個的なブログやSNSにとって変わられたことも,理由のひとかけらに過ぎないと思います。もっともっと要因が複合的に積み重なっているとは思います。
ともあれ,個人管理の掲示板サイトながら,インターネット勃興期に,クラシックをテーマとした掲示板を先んじて立ち上げられたことで,大きな功績を残したと思います。7年間お疲れさまでした。これで,オペラざああっの怪人も灰燼と帰すことになりました。以上,ながながと思い出話でした^^;