日録

曇天時々雨。名古屋の方ではものすごい豪雨に見舞われて、ご自慢の地下街が水没しかねない勢いでたいへんだったようです。とはいえ、こちら東隣三河の方ではまるでピンとこない感じでした。なんだか、気候の変動が極端でおそろしいものがあります。
午後になって、いきなりオフィスの電話交換機が壊れてしまい、外部と音信不通になったりしました。原因は不明ですが、知らないうちにサージを拾ってしまい、基盤が壊れたとの推測。さっそく修繕担当を呼ぶ。
もろもろ対応を済ませ、19時で切り上げて、帰宅する。
さて、先週末、熊野大学でいろいろ面白いことを体験しましたけど、いざ、まとめようとしても、頭が悪くてまとまらない。ところがここは、私的ブログにすぎません。レポートという形にこだわらなくとも、まとまらないまま箇条書きにするという手もあります。要は自分にとって、後々のリマインダーとして機能すれば事は足りるのです。
○初日で中上さんの墓石に線香あげる。新宮イオン裏の山腹が、広大な墓地となっている。駐車場から歩いて五分もかからない場所にあるが、けっこう坂道を登らされる。
○中上さんの墓石を見たついでに、”ロク”さんという墓石にも案内される。不勉強なので、このロクさんが中上さんにとって誰のことなのかがわからない。ともかく行列についていったら、人一人しか歩けない藪だらけのうねった坂道を延々登らされて、その奥に墓石(わりと新しめの)が鎮座していました。ロクさんは生前、山がお好きだったそうで、それで、こんなに登ったところに墓石をおいたんじゃないかしら、と誰かが冗談めかして言っていたのがウケました。
○この墓地、眺めがなかなかよろしい。思わず「ああ、いい眺めだ」と独りごちたところ、すぐ手前の麦藁帽子のおじさんが、こちらを振り向いて言う「(向かいの山腹)あそこに大石誠之助の墓石がある」と指さして言う。いま思い出すと、このおじさん、熊野大学の講師の高澤さんだったような気がします。
川村湊さん、すこし老けたような。犬歯周りの歯も抜けてたのではないか。歯も入れられないようなぴいぴいな状況ではなかろうかと心配になる。杞憂であればいいのですが。
○共育学舎と同じことを、もしも都内でやったとしら、いわゆる”脱法ハウス”ではないかしらん。
○井筒監督の毒舌は爽快でした。
○大阪の生活を追われて、紀州の海辺を放浪する。これが井筒監督の映画のパターンでもあって、そしてそれは中上の作品の構造に近いものがある。ただ、井筒監督ご本人は映画のタネを作ることを意識して、中上作品を読んだことはないとのこと。
生田長江という学者がハンセン病で、昭和11年になくなっているが、不思議なことに、らい療養所に隔離されることがなかった件。当時は、らいと認定されれば、財産を没収され、”お召し列車”行きだったのだが。・・・
○日本だけでなく、ドイツでも、戦前という時期は、どういうわけかコスモス(=聖潔)を追い求めた時代であって、カオス(=混沌)は排除された時代だった。これが不幸の原因でもあった。
小栗判官で有名な”つぼ湯”は後世のねつ造ではないか。古地図を開くと、現在つぼ湯と観光ガイドブックで言われている、この温泉は、載っていないらしい。その古地図をみたかった。
○金石範の大作「火山島」は近々復刊予定とのこと。あの神聖喜劇よりも量の多いしろものらしい。量は多いものの、エンターテイメントとして面白く読ませる。これも小説にとって大事なこと。
○「地の果て至上の時」を描くことで、”物語”の後の世界を描くことが大事になってきた。もはや「枯木灘」はいらない。
○新宿のG街にて、中上さんが酔っぱらってビール瓶を投げたのを、上手にナイスキャッチした。そんな思い出を楽しげに語られたのが、中沢けいさん。
川村湊さん、中上の作品から”路地”が失われつつある件を、批評として指摘したときのこと。中上さん激怒「川村をぶん殴ってやる」その何日かあと、川村さんと中上さんとがタクシーで偶然二人きりになった。川村さんおびえる「私を殴るのは本当ですか」中上さん至って穏やか「いいんだよそんなことは」二人きりになって面と向かい合うと、意外におとなしいのが中上さんのキャラのようです。
○朝食で、適当な席に座って、お膳を突っついていたところ、真っ正面にいきなりノリさんが座ってきたので、びっくりしました。隣席のコーディネイターと会話をされてるようでした。とはいえ、びっくりしすぎて、こちらからこれという話ができなかったという情けない結末。
○飲み会での自己紹介で、「もともと坂口安吾が好きで、そこからリンクをたどっていったら、中上に遭遇しました」と言ってみたら、会場が一瞬どよめいて、感心してくれた。それはうれしかったのだが、その後が続かず、なんだかあやふやなアピールで終わってしまった。
○三日間とおして夏風邪で体調がいまいちだったのが、やはり残念でした。喉がげほげほするし、軽く頭痛がするわで、テンションがいまいちあがらない。・・・やはり最後は、体調管理がものを言いますね。後の教訓とします。
おやすみなさいませ。