本日の読書

堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫)」先日都内での受賞発表会にて下賜せられた1冊をざっと通読す。久しく読んでないものばかりなので,内容の大半は忘れている。なんだか初めて読んだような感じもする。「教祖の文学」と「不良少年とキリスト」は,批評対象をざっくり斬っていると同時に,かなりに自虐的なユーモアのスパイスも強烈で,読んでて噴いてしまいました。前にはそれほど感じなかったのですが。これは久々に読んだが故の再発見なんだなと思う。
デカダン文学論での、漱石の小説についての見解もなるほどと思う。彼の作品について、日常生活の諸問題について「かゆいところまで手が届く」と評しているものの、なにか問題があれば、主人公が悶々としてそして宗教や自殺の方に行ってしまうということ。そして彼の作品には肉体が全く欠落している、と趣旨で評していること。言われてみれば、なるほどと思う。
なお,近日中に同社からこのような小説編「桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)」も上梓せられる見込です。11月に新潟での授賞式会場で配られるかどうかはわかりません。そのようなことを考えてないで紙で読みたい人は買いましょう。