ひさびさにエノケン堪能

CSの衛星劇場から「エノケン近藤勇」拝領。さっそく鑑賞。以下とりあえずメモ羅列。
○映像の状態はすごくきれい。ほとんど雨が降らない。ていうか気にならない。
○冒頭。チャンバラシーンで,近藤勇(=エノケン)が,素ではあまり冴えないが,「高足下駄を履くと」,急に「剣術が強くなる」,という設定は笑えます。”剣術が強くなる”,ではなくて,背が高くなって”自信がつく”からといったほうがいいのかなあ。
近藤勇(=エノケン)が,道場で剣術指南をするシーン。剣士同士が,竹刀を握ってお互い向かい合い,にらみ合い,そして両者摺り足をしながら,にじり寄っていくわけですが,そのBGMが,なぜかタンゴです。タンゴののりの良いリズムに併せて,剣術を小気味良く披露してくれるのが笑えます。ハイカラな音楽と,剣道との奇妙な融合です。
○そしてそのタンゴの曲名はどうやらあの「ドリームタンゴ」です。そうかそうか,やはりドリームタンゴって,当時の代表的なタンゴ曲だったのですね。よく理解できました。それにしても,この剣術タンゴのシーン。映像と音楽のリズムが,ほんとうによくブレンドしあって楽しく仕上がっているという感じ。音楽に造詣が深いということで定評あった山本嘉次郎さんの手腕というのは,まさにこれなんだろうねえ。
坂本竜馬(=これもエノケン近藤勇と竜馬を兼ねている設定)が,眼鏡をかけているという設定は,いったいどこから持ってきたんだろう。というのも,実際の竜馬も,眼はかなり悪かったみたいなんだけど,そのことって,昭和10年代時点で通説だった,ということなのかなあ。
桂小五郎(=二村定一)によるチャンバラシーンもおおいに堪能。けっこう激しいチャンバラするんですね。そして身のこなしも軽快で,それでいて優雅さもそこはかとなく漂っていてかっこいいよ二村さん。そしてそのチャンバラシーンが済んだところで,落ち着き払ってしゃんとした直立姿勢になり,そして「サムライニッポン(♪ひとを斬るのがサムライなれど〜)」を歌ってくれるのもナイスです。レコードでの二村とはちょっとちがって,声の芯が太い朗々とした歌唱で聴かせてくれます。おそらく,マイクのない,舞台上での歌唱では,ああいう感じで披露していたのかな〜と想像できます。
○まっくらやみでのチャンバラシーン。映像表現方法がふと気になった。剣士が誰一人写らず,ただ,まっくらなスクリーンの中で,剣と剣同士がぶつかりあって,火花だけが花火のように炸裂しつづけるシーンがあったわけですが,つまり,具体的なチャンバラ映像を見せるのではなくて,むしろ,観る者の想像に委ねるというこの手法。これって,誰考えたんだろう。黒澤明がすでに関わっているのかなあ。
○これは秀逸な映画。しばらくしたらまた観たいです。録画できて嬉しいのです。このごろは録画の成功率がほぼ100%です。HDDレコーダーの操作にはだいぶ習熟できました。