老舗が消える

ムトーハップの生産元が、業務終了するとのこと。GIGAZINEに情報がアップされてました*1。残念な話です。原因はもちろん、硫化水素発生源ということで、不本意な情報が巷にまき散らされてしまったことによります。「日本の名薬 (文春文庫)」によると、この武藤鉦製薬は、ムトーハップだけしか扱っていないそうだから、これが良からぬ情報のために、売るにも売れないことになってしまえば、いったいどうなるのだろう、だから心配していたのですが、それが本当になってしまいました。102年受け継がれた、製造のノウハウが消えてしまうのは惜しいです。ほかの製薬会社が業務を引き継いでくれたらいいのですが。
かの荷風散人は、戦火で偏奇館を焼け出されてから、各地を転々としているうちに、疥癬を患いました。それで治療のために居候宅の風呂にたっぷり注いで使ったのだが、その硫黄臭のあまりの強さのために、家主のひんしゅくを買いまくりました。そんな文豪エピソードを残した、かの名薬は、これから過去のものとして消えていきます。残念です。