本日の読書

赤線跡を歩く―消えゆく夢の街を訪ねて (ちくま文庫)「赤線跡を歩く」(木村稔著ちくま文庫)。タイトルこそ”赤線”なんてありますが,実質は路上観察散歩してるかのような長閑な写真集です。遊廓とはいえ,昭和初期の和洋折衷がかった手の込んだ様式は思わず目をひきますし,そして,その空間だけ昭和半ばの経済成長から無残にも取り残されているようで,それでいて妙にしっかり頼もしくも平然と落ち着いたたたずまいが興味深いです。
でも,やはり半世紀を経っていると,あちこち朽ちているのは当然のこと。家主としてもいいかげんに立て直したいだろうし,もう10年20年もしたらこの時期の建物って絶滅してしまうのでしょうね。かといって行政の手で後世に残すほどのなにがある,というわけでもないでしょうし。う−ん。
此方帯広市内にも,この手の昭和初期の建築類はけっこう残っています。9月18日付の日記で書いたこの画像もそのひとつ。そこに行けばその空間だけ時間が止まってしまっているような奇妙な感覚がして,思わず足をとめてしまいます。*1 いや,こういう田舎の都市だからこそ,むしろ残りやすかったのかもというべきかも。ある懐中時計ファンの方のウェブサイト"spiral spring"に,帯広市内のこの手の建物についての画像とかんたんな考察が載ってますので,自分はこれを参考にしてたまに散歩したりします。
うーん,そういえば,かつて遊廓が立ち並んでいたかのような,うすっ暗い小路も残っていますね。いへ,来歴はもちろん知りません。
なんとも空文続きなり。

*1:そういえば昨年の十勝沖地震で半壊してるのもこの手の古い建築でけっこうありました。やはり経年劣化は怖いです。う〜ん,やはり消え去るのみの運命なのか・・・