16日夕刻コバケンメモ

第1部、R・コルサコフ「シェヘラザード」。第2部、ラヴェル左手協奏曲館野泉Pf.、ラヴェルボレロ」。アンコールでは、ブラームスハンガリー舞曲5番とラヴェルボレロ最後の約50秒間の再現。
ボレロを演奏開始する直前、コバケンさんによる、おおむね下記の内容のトークあり。

今日はみなさんにお目にかかれまして、私たち日本フィル一同、感動でいっぱいでございます。館野さんは、ご病気に見舞われたあと、・・・でも、左手が、よく残っていて、そして、みなさんにいい音楽(ラヴェル左手Pf.協奏曲)を聞かせられたあとの、みなさんの、あたたかい拍手が、なにかしら、”エンジェル”のように、思われてなりませんでした(会場笑い)。・・・そして、ますます、ますます、館野さんが、もっともっと、眩い世界に行かれることを、祈らずにはいられませんでした。・・・いま、同じく、ラヴェルが、私たちの人生に、もうひとつの、こういった要素があるということを、知らしめてくださる部分、たとえば、わたしたちの人生は、つねに、一定のリズムでずっと続いているということが、スネアドラムによって演奏されるのです。ちょっと演奏してもらってよろしいでしょうか?(スネアドラム暫し静かに例のリズムでソロ演奏) ・・・わたしたちの心臓の鼓動は、一定である、しかしながら、フルートが加わり、クラリネットが加わり、つねに同じ主旋律なのですが、その中で人生を語り、そしてさまざまな楽器によって、とらえられていきます。そして輪廻のように、同じ旋律が何度も繰り返されたあと、一瞬、オーケストラが激しく、光を放つ時間がございますが、最後の50秒ほど、・・・そのあと、激しく、オーケストラがのたうちまわったり、咆哮したり、あるいは快哉を叫んだりして、曲を終わります、・・・あの・・・余計なことをしゃべらなければよかったと思いますが、(会場笑い)・・・みなさん、聴いてください。(満場の拍手の中、コバケンさん、指揮台にひょいと乗って、すぐにタクト振り始める。ボレロ開始)

このようなメモでも100年経ったらちょっとした資料にはなりましょう。