トマト談義

「トマトは大好きか」
「それはもう,大好きですよ」
「それはすばらしい。トマトが好きな奴にわるいやつは居ない。
 ただし,俺を除いてさ,ははは」
「はあ」
「おまへ,トマトはどうやつて食べてる?」
「・・・? どうやつてつて? 包丁で切つて食べてますよ」
「さうじやなくてさ,何をかけてる?」
「ああ,さういふことなの,ええと,塩をぱらとふりかけて食べてますよ」
「なるほど,でも,塩でなくて,じつは醤油をかけるといけてるんだ。
 知らなかつただらう。こんどやつてみろ」
そういつて得意満面の彼は,トマトジュースの缶を僕に6本くれました。醤油をかけると旨いぞ旨いぞとさんざんのたまつてくれたのはかまはないのですが,缶入りのトマトジュースをくれる意図はよくわかりませんでした。醤油を混ぜて飲んでみなという意味なのでせうか。