日録

晴天。日中は、仙台の方に出かけて少し買い物をする。天候が良いので、海辺の方にも出かけてみる。場所は名取市閖上津波で街がすべて消えたところです。ここを訪れたのは、およそ20年ぶりです。むかし仙台市に住んでいたときに、ここは私的な”癒しスポット”でした。なにか気晴らしをしたいとき、自転車を走らせて、この静かな小さい港町にたどり着いて、あたりを見回すと、静かな街並みと、港湾の穏やかな水面と、黙々と糸を垂れている釣り人達と、そしてどこまでも続く防風林と砂浜、そんな光景をぼんやり眺めているだけで、なんとなく気持ちが和んでくる、そんな懐かしさのただよう街でした(おかしなことです。この港町には、知り合いなんかひとりもいないのに)。

これは同町内の日和山神社にある小高い丘の上で撮ったもの。人ごみの向こう側に石碑が建ってますが、この石碑の半分位の高さまで水面が届いたそうです。第一波が押し寄せてきて、その波が引く前に、第二波、第三波が次々と来るので、水面がみるみる高くなる一方だったそうな。お宮も何もかも流されてしまって、残ったのはこの石碑と、あと太い木が二本残っているだけ。丘の一角には、献花と線香がいまでも絶えません。正直、ここに来て、泣きました。この町に知り合いはいないとはいっても、悲運があまりにも巨大で、とても他人事とは思えず、感情を止められなくなりました。
20時にはまた盛岡の自宅に戻りました。雨天でした。北日本の空模様は仙台とは正反対です。さて、また、この一週間を駆けって行きましょう。おやすみなさいませ。