本日の読書

恋と女の日本文学 (講談社文庫)「恋と女の日本文学(丸谷才一著,講談社文庫)」かつての日本文学は,中国文学からヒントを得ることで出発した。しかし,そもそも中国文学はその土台に儒教道徳が支配していて,そこでは倫理・秩序を重視され,”恋愛”は低く見られていた。したがって,歴史の長さにも関わらず恋愛をテーマとした文学の傑作はたいへん少ない(紅楼夢金瓶梅は例外的所産)という歴史があるとのこと。
しかし,平安時代の日本文学は,そういう中国文学の影響を受けながらも,儒教道徳の影響からは脱して,「源氏物語」のような恋愛至上主義な文学を創造してしまった。その謎について要領よく解説してくれる本でした。
そうか,ともあれ,中国では長年,性が数百年単位で抑圧されていたのですね。ズンの小説が北京語訳されてかの地で歓迎されているという話も,けっして故なしではなさそうです。