本日の読書

寺田寅彦「浅草紙」,青空文庫所収のこのページからつまみ読み。エキスパンドブックファイルがアップされて無いようなので,自分で縦書き君バージョンこしらえて,こんな風に変換してから読む。改行に至るまでの文字数も関係しているのだろうけども,やはり長文は,縦書きのほうが文章の座りが良いように思う。
浅草紙というのは,要するに落とし紙のことなのだが,本来ならその目的のために使われるしかない,質の粗い紙のあちこちを,つぶさにじっと眺めているうちに,浅草紙の原材料だった古紙の名残として紙面のあちこちに散らばっている文字様の記号をつぎからつぎへと興味深く拾っていくのを契機として,そこから,人間にとって創造とはいったいなにか,そしてそこにおいて,過去の遺産からの”剽窃”とはなにか,そして独創性とはなにか等々,人間の創造行為というものの根本について,著者の志向が,次第に深遠な方向へと向かっていくのがおもしろい。読者としても,いろいろ考えさせられる。うかつな盗用行為は言語道断ですが,それでも,いまに生きるわれわれは,過去の遺産を統合して,素材を練りに練って,新たなものを創造しつづけているのはまちがいない事実だと思われる。うーん。
・・・などと書いているものの,自分も,そもそもの発端は,ふと”浅草紙”ということばに惹かれて,ネットを検索して無聊を紛らしていただけのことなのですがw
もしも,寺田寅彦がいまの時代にインターネットをするならば,この不特定多数の人間が節操も無く(?)ことばを増殖させている,この電脳世界を眺めつつどう考えるだろう。やはりそこに”浅草紙”を見出しているかもしれなかったりして。*1 *2

*1:うちのブログも,思いっきり浅草紙状態を呈しているようです。コンサート鑑賞録,唐突な歌詞起こし,音盤試聴,B級グルメ試食,脂だらけの牛肉試食,思い込み激しすぎ文学論等々,なんだかわけわからん。単なるメモ書きと心の遊び場として楽しんでいるだけなのですが。あ,だから方向性ないんだ。

*2:実験精神に富まれる方には,ぜひとも当ブログを,貴プリンターにて出力していただいて,厠にご持参されることをお薦めします。