李白再訪

在京中,空き時間がふと出来たので,以前の神保町店をたたんで,いまは世田谷の経堂に引っ越した,かの”茶房李白”も再訪してきました。*1

経堂駅からこの賑やかな商店街をおよそ500mくらい徒歩で歩き続けて歩き続けて,程よい疲れが足にたまってきたちょうどいい頃合にくるりと右折して小路にもぐりこむと,建物はやや新しめだけれども,渋いたたずまいは相変わらず健在のかの”李白”が立ち現れました。しかしこだわりの濃い門構えだよなあ。
 
白い暖簾が垂れ下がっているのがまさに玄関なのだが,これ,近づいてみるとこの戸があまりにも小さすぎるので,傍目には単なる”窓”にも見えてきてならず,初訪問の身には,これが果たして”玄関”なのだろうかなかなか確信を抱けませんでしたw じっさいそこで立ちどまって戸惑ってうろうろしていたお客さんもいました。そんなとき,いきなり店主がその玄関からぬっと顔を出してきて,「ここが玄関です」のひと言。さぞびっくりされたことでしょう。
中に入ると,李朝の陶器磁器骨董を室内あちこちふんだんにあしらった,ほの暗い渋い渋い空間がそこに立ち現れます(さすがに店内では恐縮でデジカメは使えなかったです)。店内のスペースは神保町の頃よりも奥行きがはるかにあって広々としていて,以前のなんとも古くて狭っ苦しくてそして怪し気な雰囲気はいささか後退しているけれども,経堂という住宅地のもの静かな環境に取り囲まれているおかげで,落ち着いた雰囲気はぐんと醸し出されていますね。安らぎを得られることうけあいです。文庫本片手に訪問すれば,お茶とお菓子傍らに,落ち着いた読書と思索に浸りつづけることが出来そうです。

逆側から眺めた景色。目隠しとして敷地を取り囲む簾(?)が渋い味わい。ようやく咲きはじめた梅の花もまた情緒を醸し出していて,絶好の李白訪問日和でした。
ただ,残念だったのが,神保町の頃にはいつも店内で守り神を演じておられたかの下條殿*2の姿が,まったく店内に見えなかったことです。ご高齢とのお噂も仄聞しているので心配です。気になります。どうしておられるのでしょうか。
またお茶飲みに行きます,必ず,そう心に誓って店を後にしました。

*1:今回,李白仲間のみなさまを,お誘いできなくて申し訳ありません。

*2:店主のお父さんに当たる方。一部の仲間内で”下條”と愛称しているだけなのですが。