日録

曇天。秋田の方はネットのつながりが良くないので、もっぱら正月番組をみたり、本を読んだり、寝そべっていたりで過ごしてます。正月らしい平和な過ごし方に徹しています。
時間が余ったので、20年来積読だった「死霊」も本棚から取り出して3章まで読み通しました。全く初読です。”難解”の形容詞で語られる埴谷さんの作品ですが、こうして落ち着いて読んでみると、文章の言い回しは、みんな平易で判りやすいです。ただ、センテンスのどれもが、長くて、ねばり強くて、そして、絵画のようなしーんとした静謐感を湛えています。それだけに落ち着いて読まないとなにもつかめなくなります。逆にじっくり読むと、あちこち、ほの暗くて散文詩のような美しい修辞の味わい深さに身がのけぞりそうになります。
”難解”なのは、どの叙述もことごとく浮き世離れしていることと、そして、こういうテンションで延々半世紀にもわたって書き継いだ意図が、第三者にはつかめないところにあるからだと思ったりします。
正月くらいこういう浮き世離れした読書もいいと思います。緊急事態のため、明日は午後のうちに盛岡に戻ります。おやすみなさいませ。