日録

晴天。mixiでニュースをチェックしてたら、歌手の鬼束ちひろさんとジェロさんが、たいへん「取材者泣かせ」とのこと。記者側で事前にたくさんの質問を準備しておいてから、インタビューをするとしても、肝心のアーティスト側の回答が「よくわかりません」の連発ばかりで、話の進展がまったく無くて、場が凍り付いてしまうみたいです。華やかなイメージとはずいぶん違うものだなと思います。
しかし、人の前に出るのが仕事なんだから、たとえ中身がうそっぱちでも良いので、適切なコメントをパッと返せるようであったほうが、仕事をする上で有利だとは思うのですが。受け答えができないのでしたら、始めから記者会見の場を作らないほうが良いと思います。
それでふと思い出しました。こんな芸能人のインタビューでなくても、一般の雑談でも、うまい言葉が返ってこなくて困ったことがありました。
とある3年前、とある旅先で、とある初老の方と雑談したときのことです。
旅先の小さな書店から出てきたところでばったり遭遇。
私のほうから先に挨拶してみる。
━━おつかれさまです。
「いや〜本屋に行くのが好きなもので(立ち寄ってました)」
━━本屋に行かれるのがお好きですか。いいですね(あ、本屋に詳しそう、教えてもらいたいな)。
「・・・」
━━普段は、どちらの本屋に行かれてますか?
「・・・・・・(無言)」
━━本屋がお好きとのことですよね。私も(引っ越してきたばかりで)、福島県の本屋というものが、まだよく知らないので、もし、お近くの本屋があれば、教えていただきたいのですが。
「・・・・・・(無言で考え込んでいる)」
━━すみません、行きつけの本屋は、どちらですか?
「・・・・・いや・・・・出不精なもので・・・・(わからない)」
━━(あれれ?)さきほど、本屋が好きなもので、と仰いませんでしたか?
「・・・・・(無言)」
━━(たとえば、私が知っている範囲では)郡山駅前の、東北書店*1は何度か立ち寄りましたが、あの書店はどういうもんでしょぅ?
「・・・・・(無言)」
━━東北書店ですよ。駅から出て、すぐ右のアーケード街に入って一分くらい歩いたところにある書店ですが。
「・・・・・(無言で軽くうなずく)」
━━え・・・(そうではなくて、この福島で)本屋がお好きでしたら、(あれだけの規模の書店)それなりに感銘が深い場所だとは思うのですが・・・
「・・・あなたって、郡山に、ずいぶん詳しいんですねぇ〜」
こんな感じの問答が繰り返されるばかりで、情報のやりとりがさっぱり深まりませんでした。
いま思い出しても、心の中がむずむずします。あの時、福島県内の書店事情を知りたくてたまらなかっただけに、こういう中身のない回答ばかり返されてきて、正直、がっかりしました。話し相手を間違えてしまっていたとは言え、いまでも、トラウマになっています。

*1:http://book.geocities.jp/touhokusyoten_fan/;これは旧東北書店ファンサイトです。残念ながら、書店自体は、既に閉店されています。