読了

「街はふるさと」なんとか読み終える。後半およそ五分の一程度は一気呵成に読み通しました。なかなか暗い結末が準備されているのですね。とある登場人物には、死という悲劇的結末が設定されています。残された青木が感慨深げにつぶやくシーンをメモ。

青木はつぶやいた。「君とこうして歩いていると、しみじみ感じるのは、悪縁ということだね。まったく、人生は悪縁だけさ。だから意地づくで生きのびてやらァね。死んじまうと負けだというのが実にハッキリしていやがるなァ。今にこうして君の骨を埋葬してやる日のことを考えると、いくらか生きがいを感じるな」青木はうまそうにパイプをくゆらした。

ヒルな言葉ではあるが、安吾さんらしく、歯切れ良い台詞にまとまっているなという感じで印象に残りました。他にも沢山あります。いろいろ引用していったら、ちょっとした名言集になりそうです。
ていうか、なにげに安吾さんがこれまで(発表時昭和25年以前まで)書き残した文業を集大成しているよな作品です。もっとも安吾さんは同じような論調を繰り返す癖があるから、必然の結果かもしれませんが。
ともかく、このたび一気に読み通せて、よかったです。