本日の読書

坂口安吾と太平洋戦争半藤一利PHP)」感想というほどでもなくて、軽く印象だけメモ。これ、ざっと通読して思うのは、この著者半藤さんというのは、基本的に人付き合いの上手な人なんだろうな、と思います。若い頃、ふとしたことで安吾晩年の桐生時代に、原稿取りに行ったエピソードが書かれてあるわけですが、それにしても、あの、気性不安定そうな安吾さんと一週間もお付き合いする羽目になったのに、その一週間は安吾さんからは、かなりもてなしてもらったみたいで、そしてその場で「歴史タンテイ」のイニシエーション(?)すら賜ったようで、著者本人的にはかなり「幸福な記憶」として残っているようです。すごいことだと思います。
もちろんこうしてかわいがってもらえたのは、お互い20年以上の年齢差もあって、精神的な距離感もあったこともあると思うし、それに「原稿取り」というビジネス本位に徹していたこともあるのではと思います。もちろんそれだけではなくて、半藤さんって、東京生まれだけあって、なにかしら都会人のセンスも生来持ちあわせている方なのではと思ったりします。その垢抜けた感じがあって、誰にでも好感をもって迎えてもらえる、そんなタイプのような気がします。
そのせいなのか、いつも著作で、昭和史のどろどろしてて複雑な題材を扱っているにもかかわらず、文章がいつも乾いていて明朗なんですよね。文学っぽさもあんまり無いし。そういう意味では、稀有な人なのではと思います。安吾さんよりも半藤さんの人柄のほうに興味感じます。司馬遼太郎さんとも仲良かったのも同じような理由があったのかもしれません。もちろん歴史好きという共通項もあったろうし。