痛々しい動画

ニーチェの動画があるなんて知りませんでした。フィルムとしての真偽はわたしは知りません。もしかしたら残された写真とCGを駆使した偽動画なのかもしれませんが。もっとも仮に偽だとしても既成イメージ(晩年の)に素直にのっとった内容なので,さもありなんという感があります。

にしても,あまり知られてませんね。翻訳の後ろによくついている年譜や解説文を読んでいても,このフィルムについて言及されているのは読んだことありません。思うに,ここに写っているニーチェは往時の文業闊達なニーチェではなくて,すでに抜け殻だから,彼の真の姿ではない,故に資料として取り上げるに値しないということで,一般読者に知られることなく放置されていたのでしょうか。
とはいうものの,あまりにも痛々しくて陰鬱なので,気分直しに,モンティパイソンによる,哲学者サッカーを観ることにします。もちろんニーチェも登場します。

試合開始のホイッスルが鳴っても,誰も彼もが哲学的思索にふけってしまって,グラウンド上をのろのろと逍遥するばっかりで,試合が進みません。この不可解な長時間沈思黙考の後,とつぜんアルキメデスによる奇声「エウレカ!」で初めてボールが蹴りあげられます。
どこで笑ったらいいのでしょうか。