安吾忌に行ってきましたメモ。

あんまりメモが取れなかったので今年は印象に残った部分だけおぼえがきですが。
2月17日土曜日17時より如水会館3Fにて開催。昨年*1よりはちょっと小さいフロアでした。さすがに「百周年」よりはちょっとウェイトが軽いかなというところでしょうか。
参加人数なのですが,今回は名簿が配布されなかったみたいで,厳密には何名かはわかりません。自分の目視によると,70〜80名くらいだったかなと思いますが。
会場フロア先頭には,例によって,毎年恒例,安吾さんと三千代夫人の肖像写真とウィスキーの瓶。そして横尾忠則さんデザインのポスターが飾られてました。
そして17時になって開催。献杯のあと,何分か歓談のお時間があって,会場は大賑わい。
そして,いつもどおり,ゲスト様によるスピーチが始まりました。
まず,新潟市長の挨拶。要旨はおおよそ下記のとおりです。
「53回目の安吾忌ということでみなさんがこの場にあつまり安吾に対する思いを語り合っていただけるということでたいへん嬉しく思っています。昨年は生誕百周年ということで安吾賞を制定したこと。これは文学賞ではなくて,あの「堕落論」のように,世の中に鋭いメッセージを投げかけ,日本人にやる気をもたらしてくれている活動をされている人に贈る賞と言うことでやっております。昨年は野田秀樹さんに贈りました。野田さんは若いときから「安吾の生まれ変わり」ということを自称してきたそうで,そういうことで第一回目の受賞者としてふさわしかったのではないかと思います。新潟市はこれからも安吾賞を続けて行き機会があるごとの安吾の精神を継承していきたい」ということでした。
ひきつづいて,手塚眞さんのスピーチ。毎年参加させていただいておりますとのこと。初めて参加したのは18年むかしのことで,当時は三千代夫人もご存命だったこと。今年は10数年ぶりに夫人を連れて参加したとのこと。昨年は百周年ということで,さまざまなイベントが開かれましたが,坂口安吾映画祭ということで新潟と東京のほうに行きました。若い新たな安吾ファンと会えてたいへん嬉しかったとのことでした。あの映画祭出演が,自分にとって,安吾とのつながりとして”区切り”みたいな形になれてたいへん良かったのこと。今後も安吾とは付き合って生きたいのでよろしくお願いします,とのことでした。
続いて,今回の目玉。加藤キーチ*2さんの小ライブ披露。
まず,事務局木村さんによる紹介によると「元SALLYのリードボーカル1984年にバージンブルーという曲でデビュー。2年間の活動で解散し,去年ソロで復活した。「バージンブルー」は当時キリンレモンのCMで使われた。非常に大ヒットし,当時,チェッカーズと人気を二分すると言われました。ソロとして活動するこのごろはブルース系の音楽を歌うことが多い。本日は安吾にちなんだ曲をギター一本で披露してくれます」とのことでした。
以上の紹介のあと,加藤キーチさんによる小ライブ始まりました。まず,加藤キーチさんが仰るには,「坂口安吾というと,”風”というイメージがありまして,ミュージシャン的にも惹かれるものがあります。たぶん,最終的には「魂を浄化していく」力があるのではないかと思います。そういうところが,自分の人生とオーバーラップするところがあります。というわけで,今回はボブ・ディラン「風に吹かれて」を日本語訳で演奏してみたいと思います。聴いてください。」(そしてボブ・ディラン「風に吹かれて」披露*3。)「安吾さんが言った”虚飾を捨てたものこそ美だ”という言葉,つまり,かっこつけたり,媚を売らないということ,これは,音楽活動をしていて学ばされることが多いと思います」とのことでした。
この後,持ち歌を2曲披露。これ以降メモが取れなかったので,曲名は失念。だけど,なるほど〜,安吾に対する深いリスペクトが言葉の端々からたくさん伝わってきました*4
この小ライブの後,引き続き歓談やゲスト様のスピーチ。そしてここ数年恒例のカルトクイズが始まりました。
安吾の身長はどのくらい? 安吾が好んだ映画は何? 安吾が庭に作りたがったものは何?
相変わらず,激烈むずかしすぎる出題でした。考えるのは無駄だと思ったので,適当回答。その結果正解は2問という惨憺たる結果でした。ちなみに同行の信楽さん*5は八問正解でした。安吾の著作はいまだ一冊も読まれたことは無いというのに,8問もの正答率はすごすぎです。やはり直観力が常人以上なのだと思います。感服いたしました。そして,受け取られた賞品は「道鏡」初版本です。藁半紙による手作りの香り漂う造本です。いまでは決して造られることのない造本です。かっこいいです。
その後,ゲスト様によるスピーチ,そして歓談,そしてバイキング形式の食事。
おしまいには,これまた恒例,坂口綱男さんによる,得意の,ちょっとすっとぼけた口調によるスピーチで〆になりました。
スピーチでは,安吾の身体的特徴について言及。
「今回のカルトクイズでは,安吾の身長は,173cmくらいということでしたが,だけど,安吾が相撲取りと並んで撮ったツーショット写真では,安吾と相撲取りは,ほぼ同じ身長で並んでいつように見えます。ちなみのその相撲取りの身長は,182cmでした。だから,安吾の身長というのは,はっきりしないものがある」とのこと。「わたし(=綱男さん)が,安吾の遺品のなかでいちばん好きなのは,やはり『眼鏡』です。安吾がこの眼鏡を通して,現世を見ていたということ,そしてそれが残っていることが,やはりすごいことだと思う」とのこと。そして「眼鏡屋にこの(安吾の眼鏡の)レンズの度を調べてもらったところ,−6.5もあった」とのこと。ということは安吾の近視は0.02くらいだったのではないか,とのことでした。これはそのうちデジタルミュージアムのネタにしたいなと思います,とのことでした。
安吾の視力のことは,だいたい想像がついていましたが,安吾の身長に定説が無いのは,意外でした。たしかに相撲取りとのツーショットでは背丈は,同じくらいですね。そういえば,檀一雄さんとのツーショットでも,二人ともだいたい同じくらいの身長で写っているのがありますね。にも関わらず,諸説紛々としてわからない。謎です。カメラというのは嘘をつくものなのでしょうか。
今回,会場でお会いできましたのは,このはてな関係では,昨年に引き続いて,id:u2koboさんとお会いしました。
そして今回オフラインで初めてお会いできたのは,新潟からお越しのid:meatloafさん。そして大阪からお越しのid:shino-yokさんでございます。
お会いできて光栄です。実際に会うと,文面からちらっと想像がつくような感じがダイレクトに伝わってきて,すぐにリラックスできます。やっぱりネットで偉大です*6
みなさまおつかれさまでした。
また機会がありましたら,安吾関係のイベントでお会いいたしましょう。ではでは。

*1:http://d.hatena.ne.jp/saitohswebpage/20060219#1140356175

*2:http://pops.hp.infoseek.co.jp/

*3:検索すれば原詩と日本語訳詩も出てきますのでどうぞ

*4:ただ,欲を言うと,この小ライブ,音声が割れ気味だったように思います。それがキーチさんのハスキーボイスとかぶっちゃって,せっかくのメッセージが聞き取りにくかったように思います。簡易に設置された舞台ではなかなか難しいものがあるとは思うのですが

*5:http://junzos.hp.infoseek.co.jp/

*6:ただ,逆にsaitohswebpageは文面と実像がかけ離れている,もっと年配の人ではないかと思われていたようです。時々文語をまぜこぜして文章を書くからでせうか^^;;;;