本日の読了

白い航跡(下) (講談社文庫)「白い航跡(下)(吉村昭講談社文庫)」高木兼寛臨床医学に徹する精神もすさまじいが,その手法と真っ向から反対の立場をとり続け,陸軍の脚気解消にはなにひとつ寄与することが出来なかった,鴎外森林太郎の頑迷さもすさまじい。いったいなんだったのかいろいろ考えさせられます。ドイツでコッホ博士に直々に教わったプライドがそんなに邪魔したのだろうか。海軍の高木のほうで,玄米と麦が脚気の解消につながることが,経験的にほぼ立証されていたにも関わらず,その学理的裏付けの無い手法を攻撃し,あくまでも細菌原因説にこだわり続けたそのすさまじいまでの頑迷さ,読んでてまことに不思議になってきます。