デーモン閣下

メイクは,いつもどおりの”素顔”。
話し方は,”ですます”調で一貫していて,エキセントリックでなくて,けっこう,まともな,印象を受けました。
それにしても,頭の回転がものすごく速いですね。相撲についての造詣も半端ではないということよくわかりました。各勝負ごとに,決まり手,技の名前が,閣下の口から,言葉が的確に出てきて,よどみないです。テレビではなくて,ラジオの中継しても,通用するんじゃないかと思いました。
記憶力もすごいです。その一部をテープ起こししてみると。

○吉田賢アナウンサー
デーモン小暮閣下*1
・・・まず,そもそも,相撲にのめりこんだきっかけとはなんですか?
「なんでって・・・? きっかけは,あの,我輩の,世を忍ぶ仮の祖父が,大学時代,旅順工科大学に行ってたんですが,・・・いろんな理由があって,・・・で,そこで,相撲部だったんですよ」
・・・おじいさんが相撲部だったんですかぁ
「嘉納山という名前を名乗っていました。」
・・・大学相撲なんですかぁ。
「大学相撲なんですけど,しこ名が付いていた。・・・それで,そんな話を,(幼少の頃から,周囲から)きかされていたわけなんですね。・・・そして,たまたま,祖父が,家に(遊びに)来るとかいうときに,・・・相撲中継とかが,たまたま放送されていたりして,それで,(祖父が)コミュニケーションをとる手段のひとつとして,相撲を観たとか,いうのが,・・・おそらくきっかけだったとおもうんですよ。・・・ま,気がついたら,のめりこんでましたね。」
・・・えぇと,(閣下の)世をしのぶ,生まれ年は,昭和37年ですよね。
「ええ,そうですよ。公表してませんが」
・・・(笑)公表してないんですかぁ?・・・たいへん失礼いたしました。
「ええ」
・・・でも,”世をしのぶ”ですから。
「全国の公共放送で。・・・(カメラにらむ)」
・・・えええええと,世をしのぶ,昭和37年生まれの閣下にですねえ,(先日)思い出に残る相撲勝負を教えてください,とお聞きしたら,・・・なんでも,昭和45年九州場所千秋楽の横綱玉の海と,横綱大鵬による,優勝決定戦を上げられましたよね。
「ええ」
・・・ちょっと用意しましたので,(フィルムを)観てみます。
(フィルム放送される。玉の海勝利)
・・・これを,思い出ということで,あげられたそうですが,どういう思い出なのですか?
「ええ,我輩が相撲を好きになる,きっかけとなったのがこの相撲なのです。
・・・なにが,心を打ったのでしょうか?
「えええと,詳しくは覚えていないんですけどねえ,・・・」
・・・世をしのぶ,8歳くらいのときですよね。
「(笑)そうですね。・・・とにかく,大一番である,ということだけは,わかったんです。・・・もう,ものすごい盛り上がっていて,・・・それで,小さい玉の海が,大きい大鵬を,正面から,寄り切るわけですよね,・・・これを観て,わ〜,おもしろいなあ,こんな小さい人が,こんな大きい人に勝っちゃうんだぁ,という,ある意味,相撲の醍醐味というものに触れ得たわけですよ。・・・ということから,相撲というものに,より興味をもつきっかけとなったわけですよ。・・・一番最初に好きになったのも,玉の海ですから,・・・」
・・・ほう。・・・ただ,その玉の海は,病気で急逝するわけですけれども,・・・子供心に,やっぱりショックだったですよねえ?
「いや,あのう,・・・でも,よくわからなかったですねえ。(相撲の)システムというのは,あのころ。・・・いまでも,覚えているのではですねえ。当時,玉の海さんが亡くなって,そのニュースが,テレビで放映されていたわけでしょう。・・・じゃあ,横綱がいなくなって,どうなるんだろうと,思ったわけですよね。・・・すると,次の場所の番付を見たんですけど,当時,コウテツ山*2が再入幕したわけですよ。・・・で,当時のわたしが,何を思ったかというと,「あ,この人が玉の海の”代わり”なんだな」と思ったりしたわけなんですよ。」
・・・はぁはぁ
「・・・いまでは考えられないような,素人っぽい考え方ですけど,あ,あの人が,横綱の代わりなんだなと思ったりしたものですよ。(笑)」
・・・いまのは,(閣下の)思い出ということですけれども,・・・で,”名勝負”ということで,お聞きしたところ,一件セレクトされたのは,昭和47年秋場所千秋楽関脇同士の貴乃花輪島戦だと言う事ですよね! さきほど,玉の海が好きだということですけれども,その後,輪島が好きになったということですよね。
「この当時は,輪島と貴乃花,どちらも同じくらい好きでしたね。」
・・・麒麟と並び賞せられてましたね。
「当時は,横綱玉の海が亡くなるのと前後して,少年誌,とかいったものに,わりと,相撲の話題が,頻繁に取り上げられていたんですよ。」
・・・むかしはそうでしたよね。
「当時の少年誌には,毎号のように,輪島と貴乃花のことが報じられていたんですよ。・・・輪島がパーマかけて土俵に上がって叱られただの,貴乃花が,当時十両だった輪島に負けて,そのあと(部屋)で,竹刀でばんばんたたかれて気合を入れられただの,そんな話が載っているわけですよ。・・・もう,そういうのを読んでいるとですね,・・・もう,二人(輪島対貴乃花)の戦いが楽しみでならないんですよ。・・・そして,それがまたすばらしい相撲なんですよね」
・・・これから,そのフィルムを流すんですけど,この勝負(輪島対貴乃花)って,何度もマワシマッタが入って,時間にしてトータルで,7〜8分くらいかかってるんですよ。
「そうなんですよ。最近も,水入りの勝負ありますけど,当時のはまるで違いますね。スポーツがまるで違うんじゃないか,というくらい違いますね。
・・・(当時の放送を)まるまる観てみたいという閣下のご希望だったのですが,あいにく時間の関係で,一部だけを放送します。2分30秒だけ,黙って,ごらんいただきましょう。
(輪島対貴乃花戦のフィルム流れる。観客席には,当時の皇太子殿下と美智子妃も! たしかに,凄い勝負でした。とにかく両者まったく譲り合わないがっぷり四つ状態。何度も幾知れない,残った残ったの掛け声。ようやく最後の最後に,輪島の寄り切りで,貴乃花に土。長過ぎる勝負ようやく終わる。すごいフィルムでした。)
・・・なんか,説明要りませんね。
「あのう,この試合,後半,水が入ったときに,輪島が,もろ差しになって,向こう上面東方向に寄り立てますよね。」
・・・あれで,もう勝負がついたな,と(普通)おもうところですね。
「普通はそうですね。でも,あそこから,巻き返して,残る,貴乃花がすごいんだ。・・・この勝負には,相撲のおもしろさが詰まってますね。・・・とにかく,小細工何一つなく,勝負に徹する姿勢がありありの勝負ですよ。二人とも,堂々と渡り合って,・・・もう,がっぷりですよ。・・・このフィルムは,ぜひ,もっと多くの人が,観るべきだと思いますよ。相撲の醍醐味の全てがここにあるといって過言でないと思います。・・・」

悪魔的なまでに,的確な解説ぶりでした。

*1:と,テロップにも掲示

*2:漢字わからない