もう今朝のことなのだが

気味の悪い夢を見た。
起床時刻。いつもどおり枕もとの目覚ましのベルが鳴る。カーテンの隙間から朝の日差しが漏れている。
でも,こんな寒い季節は,自分の体温でほの温まってる布団にくるまって,いつまでもまどろんでいるのがとっても気持いい。
それでいつもどおり,目覚まし時計のベルはえいと押し止めることにして,布団にくるまったまんま,うつらうつらと半眼開けつつ,そのぽかぽかした暖を楽しんでいた。
すると,上体あお向けになって寝転がっている自分の,胸板の上あたりで,なにか毛むくじゃらの物体が,もそもそと動き回っているような感触がした。胸板の上をちょろちょろと這い回っているなと思うと,次は腹の上を一目散に縦断し,今度は足の付け根の周りをちょろちょろしている。げっ,これはねずみに違いない。まさかいま寝ている布団のなかにまでもぐりこんでくるとは,なんて奴。これは大変なことになった。どうしよう,どうしようと,思っているうちに,今度は,右腕を伝い,肩の近くまでちょろちょろと這い戻ってきたようだ。うわ,こんどは顔の周りとかを這い回られたりしたら気持悪い。
それで,意を決して,かけ布団をがばと蹴飛ばして上半身起き上がると,案の定,枕もとの白いシーツの上をちょろちょろと,尻尾振り回してはいずり回っているねずみの姿が,二匹も,そこに在ったのだった。それはたいへん鮮明な映像だった。ひょえ〜っと心底びっくりしたところで,はい,夢終了。起床。
夢から覚めてみると,枕もとの,いつもの,白いシーツの上には,ねずみの姿などまったく無い。あるのは平凡ないつものベッドの光景だった。
思うに,布団のぬくもりと,自分の寝室の光景と,それとこの秋口にネズミ捕りで捕獲しまくった生きたねずみの姿とが,朝のまどろみの夢の中で結合してしまったようだ。
すなわち,自分の布団の中で寝ている夢。ちょっとした記憶のあやによるもので,たしかタモリさんも,なにかの談話でも言っていたような気がする。別に珍しい現象でもなんでもないのだと思うが,ただ,その皮膚感覚がやけにリアルでそれがひどく気味悪かったのでした。いったいなんの前触れだろう。