本日の読書及びBGM

マイルスとコルトレーンの日々 (植草甚一スクラップ・ブック)「マイルスとコルトレーンの日々(植草甚一晶文社)」 どういうわけか,このところ,”ジャズを聴く”という行為の面白さを知りたくて,ジャズ関係のガイド本を漁っています。
その中で,マイルス・デイビスを中心に扱ってる,この本が,いちばん自分にはピンと来たような気がします。
この著作では,マイルスというやや気難しい性格でもあるジャズマンの,その生い立ちと,その生き様。そしてその生き様が,その独特の,ミュートを効かせたトランペットの音色にいつでも表出されている,ということ。しかし,その一方で,マイルスは,そうして自ら築いてきた音楽スタイルを,あえて覆すかのように,常に,変貌を続けることを止めないジャズマンだということ。すなわち,当初の,アコースティックな音楽スタイルから,後年のエレクトリックなスタイルに至るまで,すべての新しい音楽アイテムを取り入れつつ,演奏スタイルはそのつど常に変貌をし続け,新しい形式のマイルス・デイビスを創造し続けることをやめることを知らない,すごぉい人間だったということが,たいへん,良く理解できる内容になってます。
しかしながら,植草さんの文章って,いかにも博覧強記で,トリビアというトリビアがちりばめられて脱線しまくりな文章なので,なかなか要約は難しいものがありますな。この辺のニュアンスは実の著作を直に読んでみないとわかりづらいところのように思いまするが,さておいて。
んでもって,上記の著作読みながら,下記の4枚をレンタル屋から借りてきて,聴いているところです。
Round About Midnight A「ラウンドアバウトミッドナイト」
死刑台のエレベーター[完全版] B「死刑台のエレベーター」 
Four & More C「フォアアンドモア」
TUTU D「TUTU」
4枚ともガイド本等からの指針を頼りにピックアップしてみたもので,いずれも”名盤”の殿堂入りものなのだが。まず,Aはミュートを効かせた,ほの暗〜い音色をフルに活かしてる,本来のマイルスらしい作品とのこと。Bは,Aと同じくそのほの暗い音色を最大限に活かすことで成功した,映画音楽でもあるとのこと。Cは上記の2枚と比べるとちょっと異色もの。ロックンロールにも通じる高速プレイを中心とした1964年ニューヨークでのライブ録音を中心に編んだもので,そのハイスピードな弾けっぷりは,けっしてマイルスの本領ではないけれども,音楽的には,いちばん明快に仕上がっているように思われるものです。というわけで,Cは,たいへん聴きやすく,取っ付きやすい内容に感じましたです。個人的にもいま一番気に入ってるところです。Dは晩年のもので,なにやらカッコいいサウンドづくし。変貌に変貌を重ね,その晩年にはこうなりましたって感じ。初期の作品とききくらべると,同じ人間が作ったものと思えないです。
そういうことを考えながら,盤をセレクトして楽しんでいたところです。