伊福部サウンドの夕べ

本日18時半開演,21時過ぎ頃に終演。おおいに楽しむ。
第一部は右記6名によるスピーチで,各人手短に済ませ,総じてだいたい20分くらい。川上敦子さん(ピアニスト),山口武敏さん(音更町長),小守政男さん(尋常高等小学校時代の同級生),小高一郎さん(郷土史研究家),そしてご長女伊福部玲さん(陶芸家)。
なかでも,山口町長のスピーチがなかなか揮っていました。趣旨はおおむね下記のとおり。さすが町長,やってくれます。^^;

わたしは,今年の,5月31日に,東京の,伊福部先生宅を,「表敬訪問」しました。今年で御歳91歳ということ聞いてましたが,見た目には,とてもそうとは思えないほど,矍鑠たるものでした。それに,先生の記憶力は,すばらしいです。当時の音更町の様子を語りだすと,そこで何が起きたか等を,西暦何年何月何日に至るまで,細かく,正確に覚えておられるのです。ほんとうにおどろきました。
そうしているうちに,テーブル上に,美味なる食べ物や,ワインが次々と,食べきれないくらい運び出され並べられるのでした。ワインといっても,その辺のスーパーで売られている安〜いワインではなくて,かなりお高そうな銘柄のワインでした。いや〜,こちらから無理をお願いして,訪問しましたのに,これほどまでにもてなしてもらって,なんだか申し訳ないような思いで,ワインをいただきました。すっかり気持ちよくなりました。
しかし,それからまもなく,次から次へと新しいお客様が,玄関から訪問して来るのです。それも,新聞記者とか,先生のお弟子さんとかです。そして異口同音に言うのです。
「(伊福部)先生〜,お誕生日,おめでとうございます!」
・・・なんと,この5月31日は,先生のお誕生日なのでした。
(そうか,それで,食べ物やワインとかがふんだんに準備されていたんだ)
つまり,わたしは,それを知らないで,先生宅を「表敬訪問」していたのでした。先にそれを知っていたら,お祝いの言葉を準備することができましたのに,我ながらさらに申し訳ない思いをしてしまいました。
・・・会場のお客様,もし,どなたかを「表敬訪問」されるときは,少なくとも,事前に,誕生日は,チェックしておきましょう。(会場,脱力まじりの微妙な笑い声)

それと,ご長女玲さんのスピーチでは,作曲家伊福部昭を最初に認めた,作曲家チェレプニンさんからもらったという言葉についてのスピーチありました。そのなかでも,

作曲において,メロディを創って,そしてそれを楽譜に書くのは,”一回で”済ませなくてはなりません。何度も何度も鍵盤を叩いて,メロディを作りなおしては駄目です。

という言葉がなぜか印象に残りました。
というのも,自分,作曲はしないけれども,しかし,こういったブログ等で,日々文章等をいろいろ書いているわけで,それも,何度も何度も,キーボードを叩いて,文章をDELしては書き直しての連発なのです。ひとつとして,一回でぴしっと決まった試しはないのです。
たしかに,究極の理想からすると,やはり自分の脳の中で,あらかじめきっちり整理してから,その上で文章等を書きだしていくほうが,作業は一回で済むに決まっているだろうし,そして,表現したいその真実に近いものをより書き出すことが出来るのでしょうね。よしっ,見習おう
第二部以降は,プログラムどおりの進行。音更町歌→日本組曲→リトミカ・オスティナータ→シンフォニア・タプカーラの順。どれもおもしろかったです。
アンコールでは,SF交響ファンタジー中,冒頭「ゴジラ」の旋律の箇所のみ披露。会場大うけ。
しかし,「リトミカ・オスティナータ」は,今回生で聴いて初めて,そのおもしろさに開眼した感あります。録音だけで聴いてた経験では,しつっこいオスティナート進行と,なにかしら,非人間的な,キンキンした響きばっかり印象に残っていたのですけど,これ,生で聴くと,そのキンキンとした響きが,集いに集って,曲後半でめいっぱい盛り上がって,壮大などんちゃん騒ぎ大騒音になります。そしてこのどでかい大騒音が,聴く耳に,得も言えないカタルシスをもたらしてくれることがよくわかりました*1。感動しました。今日以降,その原曲でもある,「協奏風交響曲」も,また新たな角度から楽しめそうです。ありがたいことです。
なにはともあれ伊福部サウンド聴くと,気持をいい感じで奮い立たせてくれます。楽しいコンサートでした。
楽 協奏風交響曲&協奏風狂詩曲~伊福部昭の芸術5 響-伊福部昭 交響楽の世界 伊福部昭:協奏三題 伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ

*1:ていうか,ノリノリのジャズ聴いているような感ありまふ