昨夜録った

筑紫哲也さんのニュース中「軍艦島」特集観る。1960年頃には全長480メートル幅160メートルの狭い地上に6000人近くもの人工を集めた島。そしてその濃い人いきれを支えた往時の建築群がいまも無言でそこに残って屹立しているさまはいうに言われぬ迫力で抜群でした。とくに大正5年に建てられたという日本初の集合住宅の説明は興味深く感じた。それは10階以上もある巨大な集合住宅で,各住居には6畳間がひとつ割り当てられており,水道等はすべて各階の中央部に据えられていて,住人みんなでそれを共用するという仕組みとのこと。モダンな外観でありながら,狭い土地事情ゆえの共用部分もかなり多かったようで,集合住宅というよりは,”集合長屋”みたいな生活環境だったのではないかというのが,番組の解説者の弁で,なるほどと思った。
しかし,1974年に放置されて以来,風化がずいぶん激しいですね。ビルの窓ガラスはみんな砕けているし,崩れ落ちた壁の破片が通り道のほぼ全体をうずめてしまってもいる。孤島だけに,潮風がまともに吹き付けるから,天候が荒れて激しい風雨が巻き起こるたびに,どんどん形を変えていくのだなと思う。村おこしのネタとして保存を考えているとのことだけれども,ものがものだけにむずかしいだろうなと思われてなりませんです。
軍艦島って,私的に潜入したレポートや画像はウェブ上にもけっこう出てるけれど,テレビ局による公的な取材はけっこう珍しいものみたいですね。市から取材許可をもらうのに10ヶ月もかかったというし,なにかと大変なようです。そういう意味ではなかなかレアな放送でもあったのではと思います。
併せて西本智実*1さん指揮によるチャイコフスキー晩年幻の未完交響曲「人生」第2楽章初演のニュースも観ることができた。第一楽章以外はスケッチだけしか残っていない状態で残された交響曲で,そしてそれに現代作曲家が少しづつ補筆を加えることで交響曲としての完成を目指しているとのこと。このたび補筆が完成したこの第2楽章は緩叙楽章で,番組では,その初演の様子の一部がONAIRされていたが,その音楽は,いかにもチャイコフスキーらしいロシア民謡っぽい歌にあふれた,馴染み易いメロディに仕上がっているように思いました。来年には第3楽章が成る予定とのこと。全楽章がまとまったら通して聴いてみたいです。

*1:翌日訂正。昨日は誤って”西本智美”と表記していました。<(_ _)>