本日の読書

香りの手帖 (福武文庫)」(松栄堂広報室:福武文庫) その名のとおり,お香及び香水等々,香りアイテムについての薀蓄本。麝香の原材料を1000分の1に薄めると良い香りになるって,どうやって発見したのだろう。昔のひとの勘ってすごい。
メモ218頁。”名香六十一種名寄文字鎖”大江英位作。日本の名香61種,その名称暗記用として下記の文が考案されしとな。太字部分が香の名称。

それ名香のその中に,匂ひうへなき蘭奢侍,いかにおとらぬ法隆寺逍遥三芳紅塵や,宿の枯木の春の花,流れもたえせぬ中川と,とくと妙なる法華経は,花橘の香りぞふかみ,三河にかけし八橋の,法のはやしの園城寺,しかはたたり恨みそふ,不二の煙のたえやらじ,しげる菖蒲をふく軒端,般若鷓鴣斑青梅よ,よにすぐれたる楊貴妃の,のどけき風に飛梅は,花のあとなる種島,またもうき世に澪標,白妙なればの夜に,にしき竜田紅葉の賀,かたぶく斜月白梅よ,夜空の千鳥浦づたふ,ふかき教の法華こそ,さこそとにほふ臘梅や,八重垣こめし花の宴,埋る花の雪を見め,名月賀蘭子卓橘,名さへ花散里とへば,春の丹霞の立添へて,手に持ちなれし花形見,身の上薫の香をのこす須磨のうらわに夜を明石,しらむも知らぬ十五夜の,軒は隣家に立ならぶ,ふる夕しぐれ手枕の,残る有明ほどもなく,雲井うつろふは,はなの泊瀬の曙か,寒梅二葉早梅を,おく霜夜とぞまがひけん,むすぶ契りは七夕よ,世は老が身の寝覚せし,東雲はやし薄紅,日かげもさすや薄雲の,上馬とや名づけらん,むそぢの香とこれをいふなり。

なんとまた粋な覚え方だこと。