本日の映画鑑賞

エノケンのがっちり時代」鑑賞。あはは,これ,なかなか秀逸じゃん。
○映画業界という設定が幸いして,モダン都市東京としての当時の雰囲気が映画全体にみなぎっているように思うこと。平成に生きる自分としては,時代物として撮られた「ちゃっきり金太」「どんぐり頓兵衛」とかよりも,おそらく当時は”現代もの”として撮られたであろう,この「がっちり時代」や,あと,「青春酔虎伝」とかいう系列のほうが,むしろ興味深く感じる。まるでタイムカプセルを覗く気分。
二村定一の出番は少なくてかなり影が薄いが,それでもあの淡谷のり子畢生の名曲「別れのブルース」を,二村の歌唱で聴けるシーンがあること。そしてその歌唱は哀愁味のある歌想を大事にしていて,それが二村にもなかなか似合っていること。
二村定一がロイドメガネをかけると,そのおおきな鼻が際立って,まるでおもちゃの変装用鼻ひげメガネみたいに見えること。
江戸家猫八による,動物声帯模写芸を楽しめるシーンがあること。
エノケンと霧立のぼるのコンビによる「エロ草紙」が聴けること。
エノケンが自殺を決意するシーン。首をくくろうとして,梁にひっかけたひもに自分の首をひっかけてぶらんこしたのはいいのだが,体重がかかった梁がぼきっと折れてしまい,そのついでに,家屋が全壊してしまう。エノケンはあっというまに瓦礫の中に埋まってしまう。自殺はめでたく未遂に終わる。まるでドリフのコントみたいであること。
エノケンによる一人多役,劇中映画といったフィルムトリックを活用したシーンも充実。なんだかキートン「探偵学入門」「一人百役」を想起させるシーンがいっぱいあるのも嬉しく感じること。
○クライマックスでエノケンがどたどた走り回るシーンもカメラワークがより巧みで以前の作品よりもよく作りこまれているように感じたこと。
○以上。