本日の映画鑑賞

「太平洋の鷲」1953年東宝。CS放映から。対米関係の悪化から,真珠湾攻撃による開戦,そしてミッドウェイでの大損害,ついに山本長官撃墜戦死に至るまでのドキュメンタリータッチな映画。
これまたテレビ初とのことなのだが,でも,ぱっと通して観て,これまで省みらることが少なかったのはなんかわかるような気がする。というのも,あちこちの映像が使いまわしみたいなのです。たとえば,空中戦シーンも円谷特撮による「ハワイマレー沖海戦」「加藤隼戦闘隊」とかから拝領したかとおぼしきのがあって,映像としての新鮮味は薄い。そういう意味では,おせじにも秀作とはいえないものなのでしょうね。たぶんそのことがテレビ放映から遠ざけられていた要因のひとつなのかなと。
ただ,敗戦に至るまでのプロセスが,たいへんわかりやすく綴られていること。ミッドウェイ以降のいかにも敗色濃厚ながらもそれでも陣頭に立って指揮しなくてはならなかった,山本長官の苦悩が映像から伝わってくること。そして戦争という選択肢を選んだ日本政治内部のいかんともしがたい融通のきかなさが,よく理解できるということ。そしてそれら一連のことが,1953年という,敗戦からわずか8年後に,ここまで明瞭に,映像化されて綴られていたという事実が,なかなか興味深く鑑賞できましたです。