本日の映画鑑賞

シネ十勝主催,帯広市「シネ十勝プリンス劇場」にて”ディープ・ブルー”鑑賞せり。全撮影にフィルム7000時間分も費やして,完成品は1時間30分という贅沢きわまりない映像です。観なきゃ損です。「良い絵撮れたで〜」という水中カメラマンの快哉の叫びがスクリーンの陰からほとばしるように聞こえてきそうな,レアな映像満載の1時間30分で圧倒されました。
冒頭で,広々とした海面に,無数のイルカが,ぴょんぴょん飛び跳ねて戯れている映像は,生命の力強さを感じさせるようですばらしい。
シャチが岸にざばあと半身乗り上げてきて,岸辺で戯れているアシカを背後からがぶりと齧る。そしてもがきくるしむアシカをすこしづつ弱らせてついには餌食にしてしまう捕食の映像なんて,なまなまし過ぎです。撮影するカメラマンもシャチに食われる危険を相当冒していること間違い無しです。よく撮影したものです。
夜の海中のサメの捕食行動映像もすごい。珊瑚の陰に隠れて身をひそめている魚たち。そしてそれを捕食しようと海中をうろうろ彷徨しているサメ。一瞬のうちにがぶりと食われる魚*1。よく考えてみると,これを撮るダイバーのリスクもまた高いよなあ。戦場カメラマンをしのぐのではなかろうかと。
それと,大西洋の海嶺や,マリアナ海溝のぱっくりクレパスのように海底が裂けた様子の,俯瞰的映像ってどうやって撮影したんだろう。あそこだけCGなのだろうか。撮影の仕方がさっぱり想像できません。
どこを切っても,文句の無い映像です。これはDVDも欲しいです。

*1:捕食映像って見てると,われわれ人間という生物としても,なにかしら原初的な”恐怖”を喚起させられますよね。作家夢野久作が「ドグラマグラ」で書いてた「胎児の夢」なんかに出て来そうなそれ(胎児は母親の胎内で成長する間に,生物が進化する過程で体験してきたさまざまな恐怖体験を,そこですべて反芻するというユニークな説)なんかをも思わず想起してしまう人もおられるのではないかと。