夢ひとつ

場所はいつもの拙宅厠(汲み取り式)。これまたいつもどおり,自分の目の前に和式便器が一段高く鎮座ましましていたので,さっそくいつもどおり小用を足す。用を足し終え,さっぱりしたところで,すぐ目と鼻の先に水道の蛇口がふっと出現せり。本能的に蛇口をえいとひねるとざあざあと勢い良く水が噴出してきて,膝元の和式便器の漆黒の穴の闇へと滝のように落ちていく。おお,これは気がきいていると思ったので,その水道水でがしがし手を洗いにけり。そして蛇口を逆にひねって水を止めようとした。しかしいくら蛇口をまわしてもまわしても,水流は止まらない。みるみるうちに,和式便器の底にたまりゆく水。これはたいへんだ。あっというまに水位を増して,便器の淵にまでなみなみと溜まってしまって,たちまちざばあと溢れ出した。これは過激に汚いかと思ったが,どういうわけか内容物は浮かんでいない。おや不思議。澄んだ水の中に数枚の落とし紙が千々にちぎれてふわふわ漂っているのみなり。なんだか安堵したところで目が醒めた。
拙宅厠がそのまま夢に出てきただけに,醒めるまでこれが夢とは気づかなんだです。*1

*1:お食事中の方,ごめんなさいね