本日のBGM

モーツァルトクラリネット協」,ワーグナージークフリート牧歌」,シューマン#4,クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘンフィル(LIVING STAGE)。1962年1月6日ライブ一回分を一括一枚に収めたすぐれもの。考えてみると”牧歌”以外は未聴だったので購入。
ブックレット中に,シューマン#4第3楽章に関する下記の一文あり。

In track 7 there is a gap of 2 seconds. This is in the original tape. Due the age of this tape this 2 seconds where lost. Also this Schumann Symphony have due the problems with this tape some cracks and pops which could not be eliminated complete to preserve the original sound as true as possible.

たしかに,該当箇所は聴いてて明らかに傷が目立つのだが,その音質そのものは,立体感と重量感とにあふれていて,クナーを聴くには十分なものになっているように思います。
冒頭の,モーツァルトは,まことに深沈とした味わい。ゆったりとしたテンポで,渋く渋く,晩年のモーツァルトを,表現してくれてます。
クナーというと,ワーグナー指揮者としての存在があまりに大きすぎるので,モーツァルトとの相性は ??? と論じられるときが時にあるけれども,ここでのモーツァルトの場合は,クナーによる粘り強い音楽つくりが,このクラリネット協奏曲が本来持っているその深沈とした曲想に,ぴたりとはまっていて,安心して耳をゆだねられる演奏になっているように思います。*1
2番目の”牧歌”は,文句なしの出来,最初から最後まで思い入れたっぷりな歌を聴かせてくれます。
3番目のシューマンは,まことにクナーらしいシューマンですね。ワーグナー風に,金管がずしんと押し出た重ったい響きとテンポで,クナーを堪能できますできます。
まことに,一見ものすごいどしりとした響きなのだが,それでいて,不思議と下品に聴こえなくて,ロマン派の音楽が,しっかり格調高く成立しているのが,すばらしいの一言でございます。

*1:モーツァルト晩年の名曲をこれほど格調高く聴かせてくれるのだから,やはり同時期にとりあげてた「魔笛」全曲も,もし録音が残っているならば,聴いてみたいものです。いつも,クレンペラー盤を聴きつつ,これをクナーが振ったらどんな「魔笛」になるもんだろうかと,想像を膨らましたくなるときが自分にはありまふ。